出産にともない、支給される給付金、手当金には、いくつかの種類があります。1つずつ、もらえる要件を確認しながら、派遣社員やフリーターと正社員の手当金の違いを確認していきましょう。
また、出産全体にでかかる必要に関しても一緒にご説明していきましょう。
身体的にも負担が多いですが、経済的にもおおきなライフイベントになる出産です。派遣やフリーター正社員など働き方も人それぞれな現代ですが、妊娠や出産を考慮するとどのような働き方を選んでいけばいいかの判断基準の参考になるように記事を書いています。
勢いでの妊娠や出産ももちろん悪いことではありません。ですが、計画的に家族計画を考えることで経済的に得ができることもあります。
※妊産婦の産前産後休業に関する取り決めは、労働基準法や育児介護休業法などで定まられています。労働基準法 第65条には、以下のような内容で記載されています。
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出産時の手当
派遣社員は産休育休が取れる?
法律的には、派遣社員でも産休・育休とも取得できます。
また、出産育児一時金はもちろんのこと、条件が合えば「出産手当金」「育児休業給付金」といったお金ももらえます。
ただし、派遣社員は有期雇用(契約期間がある雇用形態)なので、派遣先企業には「契約を更新しない」という選択肢があります。
そのため、産休や育休を取りたいと思っても、「契約満了」や「更新なし」となるケースも少なくないことを理解しておく必要があります。
出産手当金と育児休業給付金は、産休中に派遣切りや退職という形では支給されません。
企業側の給与保証
産前産後休業期間中の賃金保証を行う場合、就業規則にその旨を定めておく必要があります。就業規則で「産前産後休業期間中は給与を支払わない」と定めれば、事業所は休業期間中に給与を支払わなくても問題ないとされます。
https://romsearch.officestation.jp/jinjiroumu/2253
以上のことから、派遣社員や正社員だとしても、基本的には 産前産後休業期間中の企業からの給与は支払われないことの方が多いと考えられます。
ここから健康保険と雇用保険でもらえる手当金を説明していきます。
出産一時金は、ほぼ全員が受け取ることができますが、 出産手当金と育児休業給付金 に関しては専業主婦や派遣でも期間が終了してしまう人などは受け取ることができない手当金になります。
経済的には、正社員での妊娠のほうが余裕のある暮らしができると思いま
す。
健康保険
①出産一時金
原則42万円が支給されます。
対象:健康保険の被保険者であること。また、退職後6カ月以内の出産であれば、被保険者期間が継続して1年以上ある場合は対象になります。
健康保険 被保険者期間:一年
もし、夫の扶養に入った場合は、夫に「家族出産育児一時金」が支給されます。金額は同じく原則42万円です。
ご自分が加入されているのが健康保険組合の場合は、上乗せ支給があるかもしれません。
健康保険組合の場合47万円や55万円など、基準額に上乗せしている組合もあります。 確認してみましょう。
派遣社員であろうと正社員であろうともらえる額は変わりません。
出産一時金をもらえないパターン
- 外国籍の場合
- 早産の場合
- 生活保護を受けている場合
- 海外出産の場合
②出産手当金
産前休業・産後休業を取得し、その間に会社から賃金の支給がない場合に支給されるの手当金です。
対象:産前42日、産後56日
1日当たりの支給額は支給開始日の以前12カ月間の各標準報酬月額を平均した額を30日で割った金額の2/3です。
それまでの給与の2/3程度と考えてよいでしょう。
健康保険の被保険者期間:1年以上
妊娠の判明から産前休業の開始予定日までに契約満了となる場合、派遣更新されないと条件を満たせなくなるため、注意が必要です。
ただし、「被保険者期間が継続して1年以上」という計算に任意継続被保険者の期間は含まれません。
任意継続被保険者制度
健康保険の被保険者が、退職した後も、選択によって、引き続き最大2年間、 退職前に加入していた健康保険の被保険者になることができる制度。
子育てに専念されるつもりはあるけれど、出産手当金を受け取りたいのであれば、産後休業終了後を退職日にしてもらえないか、勤務先と相談することをおすすめします。
雇用保険
③育児休業給付金
産後休業の後、子供が1歳になるまで育児休業が取得できます。
その間、休業前の賃金の8割以上が支払われない場合に「育児休業給付金」が支給されます。
ただし、休業開始前の2年間に賃金支払い基礎日数が11日以上である月が12カ月以上であることが条件となります。給付金の金額は、180日までは休業開始時の賃金の67%、それ以降は50%です。
育児休業給付金を受給できるのであれば、育児休業が終了した時点で退職することもできます。
※この給付金は仕事を継続していくために設けられている制度です。復職するといって給付金だけを受け取り、実際には復職しないというのでは、職場とトラブルになる可能性もあります。
育休期間は10カ月ありますので、復職する可能性があるのなら、退職と決めてかからずに、仕事と育児の両立ができないか、じっくりと検討されてみてはいかがでしょうか。
受給条件
- 雇用保険に加入し、保険料を支払っている
- 育児休業後、退職予定がない
- 育休中の就業日数が各1カ月に10日以下
- 育休中に休業開始前の1カ月の賃金の8割以上が支払われていない
- 育休前の2年間で11日以上働いた月が12カ月以上
④失業給付金
また退職した後に求職活動をおこなえば、失業給付を受けられます。
すでに妊娠されている状態で失業給付を受ける場合は、受給期間延長の手続きが必要になります。
退職してから30日が経過した後の1か月以内に受給期間の延長手続きを行いましょう。延長手続きをおこなうと、通常は1年以内に受け取らなければならない失業給付の受給期間が最長で4年に延長されます。子育てが一段落して、求職活動を始められるようになったのち、失業給付を受け取れるわけです。
失業給付を受け取っているあいだは、夫の扶養に入れないケースもあります(健康保険組合などでは入れないケースが多い)。その場合は国民健康保険(国保)に加入する必要があることは知っておきましょう。
出費はどのくらいかかる?
妊婦健診費や出産準備費用
出産準備費用:8~12万円
妊娠届を役所、あるいは保健所に届け出ると妊婦健診の受診票を受け取ります。この受診票は、14回程度の妊婦健診費を助成してくれる金券のようなものです。自治体によっては、受診回数に制限を付けず、無制限の助成をしているところもあります。
ただし、受診票で助成を受けられるのは基本的な検査項目についてです。
すべて無料というわけではなく、受診票に記載されていない検査を受けたり、妊娠経過に異常が生じた場合には、自己負担が発生します。通常の妊婦健診は自由診療となり、健康保険が使えませんが、医療行為に当たれば、健康保険の対象となって3割負担になります。
超音波検査についても、無料で数回、受けられるのが一般的です。
妊娠を確定するための初回の健診費は自費になりますが、それ以降は妊娠経過が順調であれば、妊娠に関する健診費用の自己負担分は合計で2~3万円ですむと思います。
出産準備品などの購入を含めても8万円から12万円くらいで収まるケースが多いでしょう。
里帰り出産をする人の注意点
里帰り先の自治体が居住地とは異なると、妊婦健診の受診票は使えなくなります。里帰り先の産院では、健診費も自分で支払います。
受診票が使えないといわれても、捨てずに必ず保管しておいてください。自費で払った分の領収書と未使用の受診票を、出産後に居住地の自治体に持参すると、その自治体の助成金額に合わせて、現金で払い戻してくれるからです。
精算には出産後6カ月や1年などの期限がありますので、出産を無事に終えられてしばらくしたら、役所に出向いて手続きをしてください。
出産費用:50万円前後(出産一時金42万円を超えた分が自己負担)
国が定める最低基準で、出産育児一時金を42万円受け取れるため、差額が自己負担額となります。
出産育児一時金の受け取りについては、直接支払制度を利用するのが一般的です。
直接支払制度とは、産院から提示された承諾書にサインをするだけで、出産育児一時金を産院側が請求してくれて、受け取りもしてくれるというもの。出産育児一時金額を出産費用から差し引いてくれるため、退院時には出産育児一時金では不足する金額だけを窓口で支払えばよくなっています。
里帰り出産をする人の注意点
ギリギリまで働いてから里帰りをするなど、転院先の産院では直接支払制度の手続きが間に合わなかった場合などは、自分で出産費用の全額を支払うことになります。出産入院の前に、30万円程度の入院保証金も必要になるでしょう。そして出産を終えたのち、加入先の健康保険に自分で出産育児一時金の請求をすることになります。なお、事前の手続きでも事後の手続きでも、受け取れる出産育児一時金額は同額です。
そこで産院を決められたら、「出産費用はどのくらいかかりますか?」と確認しておくことをお薦めします。確認する際は、平日の日中の出産だけではなく、休日や深夜になった場合の割増料金についても確認しておくのが望ましいでしょう。
産前産後休業中の社会保険料はどうなるの?
産前産後休業への対応は給与だけでなく、社会保険にも取り決めがあります。
出産に係る休業期間中は健康保険や厚生年金保険の保険料の支払いが当該従業員だけでなく、事業所負担分も免除されます。
これを「産前産後休業保険料免除制度」といいます。
産前産後休業保険料免除制度について
産前産後休業保険料免除制度とは、産前産後休業開始月から終了予定日の翌日の月の前月(産前産後休業終了日が月の末日の場合は産前産後休業終了月)までの期間を、健康保険・厚生年金保険の保険料を免除とする制度です。
雇用保険や健康保険に関して重要になるのが、被保険者期間です!
自分が同じ会社にずっといたという人はそこまで問題ないかもしれませんが、ふとしたタイミングで自分の各被保険者期間を調べてみてもいいかもしれません!
出産一時金は、ほぼ全員が受け取ることができますが、 出産手当金と育児休業給付金 に関しては専業主婦や派遣でも期間が終了してしまう人などは受け取ることができない手当金になります。
経済的には、正社員での妊娠のほうが余裕のある暮らしができると思います。
出産費用は、出産育児一時金がもらえることで、出産にかかる自己負担は軽減していますが、全額を補えない事実はあります。
20万円程度は、出産に際して自己負担が必要になるように心構えしておくことをおすすめします。